高校数学を”本質から理解する”

  • 東京医科歯科大学(2024年度医学部第1問・歯学部第1問)(3)

    今回は過去問解説です。

    東京医科歯科大学医学部及び歯学部の2024年度の入試問題です。(*東京医科歯科大学は2024年

    10月に東京科学大学に統合されました)

    本解説では、同一題材から出題された、医学部の第1問と歯学部の第1問から、学習効果を考えて、全ての小問を統合し、小問(1)~(5)として取り上げています。

    誘導問題から発展問題までを一連の流れで学べるため、理解を深めやすいと考えたからです。

    過去問演習として解かれる場合は、それぞれの学部の過去問通りの小問に絞って解かれた方が

    各学部の要求する学力水準や出題傾向が分かるので、まずは各学部の本試験通りに解くことをお薦めします。

    概要ですが、歯学部の小問では比較的優しく誘導されています。医学部の方はラストの小問が歯学部よりも難易度が若干上がっています。

    \(n\)を\(2\)以上の自然数とする。自然数の組\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)を

    解とする方程式

    (*) \(a_1+a_2+\cdots+a_n=a_1×a_2×\cdots×a_n\)

    を考えるとき,以下の各問いに答えよ。

    (1) \(n=2\)のとき,(*)の解\((a_1,a_2)\)をすべて求めよ。

    (2) \(n=3\)のとき,(*)の解\((a_1,a_2,a_3)\)のうち,

    \(\quad a_1≦a_2≦a_3\)を満たすものをすべて求めよ。

    (3) (*)の解\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)が

    \(\quad a_1≦a_2≦\cdots≦a_n\)を満たすとき,

    \(\qquad a_1×a_2×\cdots×a_{n-1}≦n\)

    となることを示せ。

    (4) \(n≧3\)のとき,(*)の任意の解\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)

    において,\(a_i=1\)となる\(i\)が

    少なくとも1つ存在することを示せ。

    (5) (*)のある解\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)において,

    \(\quad a_i=1\)となる\(i\)がちょうど2個

    存在しているとする。このとき,

    \(\quad n\)の取り得る値をすべて求めよ。

    (*歯学部は(1)~(4)、医学部は(2)(4)(5)と出題されています)

    (\(n\)を\(2\)以上の自然数とする。自然数の組\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)を

    解とする方程式

    (*) \(a_1+a_2+\cdots+a_n=a_1×a_2×\cdots×a_n\)

    を考えるとき,以下の各問いに答えよ。)

    今回は小問(5)です。

    (5) (*)のある解\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)において,

    \(\quad a_i=1\)となる\(i\)がちょうど2個

    存在しているとする。このとき,

    \(\quad n\)の取り得る値をすべて求めよ。

    (*)の解\((a_1,a_2,\cdots,a_n)\)は、

    いずれの解も全て、小さい方から順に並べ替えることができ、

    また、並べ替えても(*)の両辺の値には影響せずそのまま成り立つので、

    小問(4)同様に本問でも、

    \(\quad a_1≦a_2≦\cdots≦a_n\) 

    と仮定して考えます。

    とすると

    \(a_1=a_2=1\) , \(2≦a_3≦a_4≦\cdots≦a_n\)

    ですから

    \(a_1×a_2×\cdots×a_n=a_1+a_2+\cdots+a_n\)

    \(\qquad =1+1+a_3+\cdots+a_n\)

    \(\qquad =2+a_3+\cdots+a_n\)

    \(\qquad ≦a_n+a_n+\cdots+a_n\)

    \(\qquad =(n-1)a_n\)

    よって \(a_1a_2\cdots a_n=a_1+a_2+\cdots+a_n\)

    \(\qquad ≦(n-1)a_n\)

    両辺を\(a_n\)で割ると

    \(\qquad a_1a_2\cdots a_{n-1}≦n-1\) ・・・(a)

    (3)のときと同じように、

    \(a_3,a_4\)などの各項よりも大きい(または同じ)\(a_n\)に全て置き換えたものを足したものの方が大きい(または同じ)になりますよね。

    ここでは、\(a_1,a_2\)が確定していることで、\(a_1,a_2\)の分がまとめて\(a_n\)1個分となり、足す\(a_n\)が1個分減って(3)のときよりも更に少しだけ絞り込めた形になっています。

    ここで、さらに何か言えないかを考えて、

    「和」の方では、全て\(a_n\)に置き換えることで、何らか意味を持ちそうな不等式へ導くことができましたが、

    「積」の方でも何かできないか考えます。

    そうすると、今度は、

    \(a_3~a_n\)は全て2以上なので、全部最低の2に置き換えて掛け合わせたもの以上になるはずです。

    すなわち

    \(a_1a_2\cdots a_{n-1}=1\cdot1\cdot a_3\cdots a_{n-1}\)

    \(\;≧1\cdot1\cdot2\cdots2=2^{n-3}\) ・・・(b)

    (a),(b)より

    \(2^{n-3}≦a_1a_2\cdots a_{n-1}≦n-1\)

    すなわち

    \(\qquad 2^{n-3}≦n-1\) ・・・(c)

    問題が「nの取り得る値をすべて求めよ」なので、

    これにいくつか値を入れて探ろうとします。

    \(a_i\)は自然数で、「n-3」が出ているので、

    意味を持つのはせいぜいn=4以降とあたりをつけ、

    \(n=4,5,6\)と入れてみると、

    \(n=4\)のとき、\(2^1≦3\)

    \(n=5\)のとき、\(2^2≦4\)

    となり(c)は成り立ちますが、

    \(n=6\)では、\(2^3≦5\)となり、成り立ちません。

    \(n=4\)のとき、(*)の解を求めると、

    \(a_1+a_2+a_3+a_4=a_1a_2a_3a_4\)

    \(1+1+a_3+a_4=1\cdot1\cdot a_3a_4\)

    \((a_3-1)(a_4-1)=3\)

    \(a_3≧2,a_4≧2\)より

    \(\qquad a_3-1≧1,a_4-1≧1\)

    よって、\(a_3-1=1,a_4-1=3\)

    \(\qquad a_3=2,a_4=4\) 

    \(\qquad (a_1,a_2,a_3,a_4)=(1,\;1,\;2,\;4)\) となり適する。

    \(n=5\)のとき、

    \(a_1a_2a_3a_4a_5=a_1+a_2+a_3+a_4+a_5\)

    \(≦a_5+a_5+a_5+a_5+a_5=5a_5\)より

    \(a_1a_2a_3a_4≦5\)  ←(3)と同様です

    \(1\cdot1\cdot a_3a_4≦5\)   

    よって \(a_3a_4≦5\)

    \(a_3≧2,a_4≧2\)であるから

    \(\qquad a_3=2,a_4=2\)

    \(1+1+2+2+a_5=1\cdot1\cdot2\cdot2\cdot a_5\)

    \(6+a_5=4a_5\) \(3a_5=6\)

    \(\qquad a_5=2\)

    \(\qquad (a_1,a_2,a_3,a_4,a_5)=(1,\;1,\;2,\;2,\;2)\) となり適する。

    \(=2\)のとき

    \(1+1≠1\cdot1\)

    より不適

    \(n=3\)のとき

    (2)より(*)を満たす解は\((1,\;2,\;3)\)のみであるから、

    不適

    \(n≧6\)のとき、(c)は成り立たず

    \(\qquad 2^{n-3}>n-1\) ・・・(d)

    となっています。

    (d)を見ると

    \(n=6\)では、

    左辺が\(2^3=8\)、右辺が\(6-1=5\)

    となっていて、

    nが一つ増えると左辺はさらに2倍になるのに対し、

    右辺は1増えるだけなので、

    左辺と右辺の差は広がるばかりなので、

    6以上では(c)が成り立つことはなさそうです。

    ですから、それを示せば完了(「nの取り得る値」すべて確定)です。

    二項定理でもいいですが、

    まず、「(d)が6で成り立っていて6以上でも成り立つことを示す」ということで、

    「数学的帰納法」でやってみましょう。

    \(\qquad 2^{n-3}>n-1\) ・・・(d)

    \(n=6\)のとき成り立つ

    \(n≧6\)で、\(n=k\)で成り立つと仮定すると

    \(\qquad 2^{k-3}>k-1\)

    \(n=k+1\)のとき

    \(2^{(k+1)-3}-\{(k+1)-1\}\)

    \(=2\{2^{k-3}-(k-1)\}+k-2>0\) 

    となり成り立つ。

    これは比較的言い易かったと思います。

    以上から、

    nの取り得る値は、 

    \(\qquad n=4,\;5\)

    最後の部分の別解として、二項定理で示すパターンも

    やっておきましょう。

    \(\qquad 2^{n-3}>n-1\) ・・・(d)

    を示すのが目標です。

    \(2^{n-3}=(1+1)^{n-3}\)

    \(=_{n-3}C_0+_{n-3}C_1+\cdots+_{n-3}C_{n-3}\)

    \(>_{n-3}C_0+_{n-3}C_1+_{n-3}C_{n-3}\)

    \(=1+(n-3)+1=n-1\)

    となり(d)が示されました((c)が成り立たないことがしめされました)

    あとの部分は同様です。

    本問(小問(5))は、医学部のみの出題です。(医学部本試験は小問(2)(4)(5)の出題です)

    小問(3)の誘導もないことと、小問(5)があるので、

    (1)~(4)を解く場合との難易度の差がありますから、

    志望の学部に応じた対策が必要です。

    お疲れ様でした。

    (主に)「高校数学」を取り上げると

    うたっているのですが

    物理の公式導出、物理の入試問題、物理の参考書、

    なども取り上げたいのですが

    次回は未定です。