佐賀大学2025年度入試問題・理工学部・医学部・農学部・教育学部共通問題第1問

今回は、「確率」の入試問題です。

国公立大学らしく、基本的な考え方を問う問題です。

1から6の目が1つずつ書いてあるが、k=1,2,3,4,5,6について、kの目が出る確率が、1の目が出る確率のk倍であるさいころを考える。次の問に答えよ。

(1)このさいころを1回投げたとき、3の目が出る確率を求めよ。

(2)nを2以上の自然数とする。このさいころをn回投げたとき、3の目が2回以上出る確率をnを用いて表せ。

(3)このさいころを2回投げて出る目の和が偶数になるとき、3の目が1回以上出る条件付き確率を求めよ。

まずは小問(1)から。

この問題に限らず、多くの大問では、明確な誘導ではなくても、肩慣らし的な問題から徐々に難易度を上げていく方式が良く取られています。

本問でいうと、「まずは小問(1)で、『このさいころの場合の各目の出る確率は通常のさいころと異なる』のでそれを体験してね」という、まさに「ウォーミングアップ」のような問題です。

受験生的には、「いわばサービス問題のような小問(1)は落としてはいけない」わけですが、言い方を替えると、「難しい大問でも、小問(1)、(2)くらいまでは『後半の難問へと続く、準備運動、導入的な問題』であって容易に解けることも多い」ので、できなかった問題でも、最低限小問(1)、(2)くらいまでは押さえておけば、他の大問含めたトータルでは十分にその科目の合格点に達する(大学入試(2次)は「満点」を求めてはいない)ことも多いです。

また、一見取り付きにくい問題でも、小問(1)、(2)と「導入」をこなすうちに後半の小問への「あるように見えた壁が取り払われる」ことも多々あり、その意味でも、入試は「解けるものからどんどん解いていく―問題文の見た目に気後れすることなく小問(1)小問(2)とできるものを処理していく―」ことが大事です。

(1)

1の目の出る確率を\(\;a\;\)とすると、

2の目の出る確率は\(\;2a\;,\;\)3の目の出る確率は\(\;3a\;,\cdots\;\)6の目の出る確率は\(\;6a\;\)だから、

1の目の出る確率は、

\(a=\dfrac{a}{a+2a+3a+4a+5a+6a}\)

\(=\dfrac{a}{21a}=\dfrac{1}{21}\) ・・・(ア)

よって、3の目の出る確率は、\(3×\dfrac{1}{21}=\dfrac{3}{21}=\dfrac{1}{7}\)

これでもOKですが、

\(a+2a+3a+4a+5a+6a=21a=1\) (全事象の確率は1です)  より、

\(21a=1\;,\;\;a=\dfrac{1}{21}\) 

こちらももちろんOKです。

実は(ア)は、

「要は、全体の確率の中の割合的部分が各目の確率」なのだから、

1の目の出る確率は、

\(\dfrac{1}{1+2+3+4+5+6}=\dfrac{1}{21}\) ・・・(イ)    

でいいわけです。

小学生(中学受験)の場合には、方程式(文字式)が使えませんから、このように「割合的に考える」わけですが、

高校生の場合も、

確率の合計である\(\;21a\;\)が\(\;1\;\)だから\(\;a=\dfrac{1}{21}\;\)と必ずこの式の形で確認しなくても、(ア)や

\(\dfrac{1}{1+2+3+4+5+6}=\dfrac{1}{21}\) ・・・(イ)

の形でも求められることを理解していることは、確率の基本的な理解とつながっています。

つまり、

確率は、全事象を1=100%としたときの、各事象の起こりやすさを「割合的数量」で表したものですから、

本問の各目の出る確率が、1の目の出る確率の「(目の数)倍」と分かれば、

\(\frac{(\mbox{各目の数})}{(\mbox{目の数の合計})}=(\mbox{各目の数の出る確率})\)

と分かります。

小問(2)です。

「2回以上出る確率」

は

「0回と1回の確率を全体から引く」ことで求めましょう。

(2)

さいころを1回投げて3が出る確率は、(1)より\(\;\dfrac{1}{7}\)

3が出ない確率は\(\;\dfrac{6}{7}\)ですから、

n回投げて3が0回の確率は、

\(\qquad \left(\dfrac{6}{7}\right)^n=\dfrac{6^n}{7^n}\) ・・・①

3が1回の確率は、

例えば2回目に3が出て他は3以外だとすると、その確率は、

3が1回出る確率\(\;\dfrac{1}{7}\;\),

3以外が\(\;n-1\;\)回出る確率\(\;\left(\dfrac{6}{7}\right)^{n-1}\;\)

から、\(\;\dfrac{1}{7}\cdot\left(\dfrac{6}{7}\right)^{n-1}\;\)

3が1回のパターンは、2回目に出る以外にも、1回目に出る場合・・・n回目に出る場合、と\(_n C_1\;\)通りあるから

\(\qquad _nC_1\cdot\dfrac{1}{7}\cdot\left(\dfrac{6}{7}\right)^{n-1}\)

\(\qquad =n\cdot\dfrac{6^{n-1}}{7^n}\) ・・・②

3の目が2回以上出る確率は、全体から①と②を引けばよいから、

\(1-\dfrac{6^n}{7^n}-\dfrac{n\cdot6^{n-1}}{7^n}=\dfrac{7^n-6^n-n\cdot6^{n-1}}{7^n}\)

小問(3)です。

条件付き確率の公式は覚えておきましょう。

\(P_A(B)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}\) ・・・③

ただし、忘れた場合に備えて、

こっちでも覚えておきましょう。

すなわち

\(P(A)\cdot P_A(B)=P(A\cap B)\) ・・・④

④は、「Aが起こる確率」に「Aが起こった上でBが起こる確率」をかけると「AかつBの起こる確率」になる(意味通り)、と覚えやすいので、

③は④を変形して求められる事を覚えておくと、いざというときに、間違いがないか確認できます。

(3)

2回投げて、出る目の和が偶数である場合を\(\;A\;\)、\(3\;\)の目が1回以上出る場合を\(\;B\;\)とすると、

まず、

目の和が偶数になるのは、1回目も2回目も偶数である場合、か、1回目も2回目も奇数である場合、である。

1回が偶数になる確率は、\(\dfrac{2+4+6}{1+2+3+4+5+6}=\dfrac{12}{21}=\dfrac{4}{7}\)

1回が奇数になる確率は、\(1-\dfrac{4}{7}=\dfrac{3}{7}\)

したがって、

1回目も2回目も偶数である確率は、\(\;\left(\dfrac{4}{7}\right)^2\)

1回目も2回目も奇数である確率は、\(\;\left(\dfrac{3}{7}\right)^2\)

よって、目の和が偶数になる確率は、

\(P(A)=\left(\dfrac{4}{7}\right)^2+\left(\dfrac{3}{7}\right)^2=\dfrac{25}{49}\)

\(P(A\cap B)\;\)は、「日本語」に直して読みましょう。

「AかつBである確率」なので、「目の和が偶数でありかつ3の目が出ている確率」となります。

2回のうち必ず3の目を含み、和が偶数となると、\(3\;\)は奇数であるから、もう一つの目は奇数しか入りません。

これを満たす目の出方は、

\((\;1\;,\;3\;)\;,\;(\;3\;,\;1\;)\;,\;(\;3\;,\;3\;)\)

\(\;\;(\;3\;,\;5\;)\;,\;(\;5\;,\;3\;)\;\)しかありません。

これらの目が出る確率は、

\((\;1\;,\;3\;)\;\)と\(\;(\;3\;,\;1\;)\;,\;\;(\;3\;,\;5\;)\;\)と\(\;(\;5\;,\;3\;)\)はそれぞれ同じなので、

\((\;1\;,\;3\;)\;\)と\(\;(\;3\;,\;1\;)\;\)は

\(\dfrac{1}{21}\times\dfrac{3}{21}\times2\)

\(\;(\;3\;,\;5\;)\;\)と\(\;(\;5\;,\;3\;)\)は

\(\dfrac{3}{21}\times\dfrac{5}{21}\times2\)

これらと、

\((\;3\;,\;3\;)\;\)は

\(\dfrac{3}{21}\times\dfrac{3}{21}\)

すべて足すと、

\(P(A\cap B)\)

\(=\dfrac{1}{21}\times\dfrac{3}{21}\times2+\dfrac{3}{21}\times\dfrac{5}{21}\times2+\dfrac{3}{21}\times\dfrac{3}{21}\)

\(=\dfrac{3}{21}\left(\dfrac{2}{21}+\dfrac{10}{21}+\dfrac{3}{21}\right)=\dfrac{3}{21}\cdot\dfrac{15}{21}=\dfrac{5}{49}\)

ここで公式です。

\(P_A(B)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}=\dfrac{\dfrac{5}{49}}{\dfrac{25}{49}}=\dfrac{1}{5}\)

小問(3)は条件付き確率の公式そのままに当てはめる、基本的な問題でした。

強いていうなら、「目の和が偶数」の場合を適切に拾い上げ、その場合の確率をきちんと計算できる基礎的な力、と、それらを条件付き確率の公式に当てはめる作業、が求められていました。

お疲れさまでした。

理工学部・医学部・農学部・教育学部の共通問題は、素直で解きやすい基本的な確率の問題でした。

条件付き確率の実践練習問題として、幅広く他大学志望の学生にも演習に用いることが出来る平易な問題です。

次回未定です。