いわゆる赤本になぜ取り組むのか

「赤本」とは、基本的には「教学社」の大学入試過去問集のことですが、今回は、「過去問集の代名詞」としての「赤本」をまさに「広い意味での赤本」過去問集一般のことを指すものとして、その必要性重要性に触れておこうと思います。

【なぜ赤本に取り組むのか】

もちろん

「大学入試に合格するため」

です。

「大学を受験しないけれども、高校数学の練習問題として、高校英語の練習問題として、高校地理や高校化学の練習問題として、使う、という場合や、指導者の立場で用いる方等もいらっしゃいますが、

本来の存在目的は、「大学受験対策」であることは間違いありません。

【どれくらい重要か】

非常に重要です。特に「チャレンジ校」である場合は、必須といってもいい。

「なぜみんなそんなに「過去問、過去問」というのか、といえば、

「過去問を解いて対策するのと、過去問を解かずに対策するのとでは、「受験対策としての効率・効果に大きな差が生じるから」です。

これは、大学入試に限らず、中学受験や高校受験、公務員試験や各種の資格試験など、ほとんど全ての試験に共通すると言っても過言ではありません。

公務員試験や各種の資格試験などでは、それぞれの試験ごとに「その仕事に就く者を選定するにあたり、”最低限これだけの事は知って理解しておいて欲しいこと”を必要な学力として求めて」いるとも言えます。「全体的に、バランスよく、教科書的に聞いてくる」試験が多い、と言えるでしょう。

一方、中学受験や高校受験、大学受験の場合は、「学校ごとの個性」があり、「出題担当者の個性」があると言えます。「小学算数」「中学数学」「高校数学」など同じ学習範囲でも、入試での出題範囲や出題傾向には差があり、各学校ごとの「個性」があります。

しかし、いずれの試験にも共通するのは、過去問を見ればその試験に合格するために必要な学習範囲とレベルが分かる、ということです。

この性質は非常に顕著であり無視できない程度なのです。

例えば何かの資格試験などでは、教科書に書いてあることを全て覚えようとするのではなく、「過去に試験に出題された事―過去問―」を中心に学習すれば、「合格に必要な学習のほとんどまたは全てが終わる」

あるいは、ある学校の入学試験に合格するためには、試験範囲は一見「算数全般」「中学数学全体」「高校数学全部」であるようであっても、実際には、「毎年、空間図形が1問と確率が1問」と決まったように出題されるため、しかも問題の傾向が似通っていて、過去に出題された問題を何問か解いたら、ほぼ同傾向である他の年度の問題も難なく解けるようになったりします。

これを見逃す手はないでしょう。

出題は毎年「空間図形が1問と確率が1問」なのに、〇〇算を一生懸命解いても、合格には近付きません。あるいは、空間図形や確率であっても、全く過去問と異なる傾向の問題ばかりを何問学習しても、やはり効率は悪いという他ありません。

「過去問学習とは、試験に合格するための最短距離を示すもの」なのです。

つまり「赤本」とは、「過去問」という「合格への最短距離」を掲載した本なのです。

もちろん、

赤本に取り組む以前に、基礎学力が付いていない場合は、特定の分野のピックアップや複数の分野にわたる総合問題である「過去問」はレベルが高く感じたり、解説を読んで真似しても、小手先のみになってしまい身に付かないなどの事態も生じるかもしれません。

「過去問」は合否を分けるためのものである以上、「理解が足りない人」「暗記が足りない人」「基礎が身に付いていない人」は不合格の点数になるように作られています。

大学入試の過去問であれば、赤本で傾向対策を知る前に、どの科目においても、ある程度の基礎学力が付いていないと、いきなり過去問をやってもかえって無駄に終わってしまうでしょう。

「大学入学共通テスト」のように、教科書の理解がしっかりできていれば、満点近くが取れるような試験もありますが、共通テストも、基礎がしっかり身に付いていなければ、高得点を取るのは難しいでしょう。

ましてや、2次試験となると、教科書から一足飛びでは厳しいというだけではなく、少々応用問題をこなしたくらいでは、まったく太刀打ちできないような問題も存在します。

教科書を超えた応用問題を初見でもほとんど自力で解けるくらいの実力があればともかく、実力がない状態で「赤本」を見て、分からないからと解説を読んで、真似から入っても、自分の実力との差が大きい場合には成果は見込めないかもしれません。

過去問は「最短距離」ですが、準備運動もスタートも切らずに、ゴールさせてくれるわけではありません。

まずは教科書的な基礎をしっかり身に付け、適切な練習問題や応用問題で、定着と実践力の向上を図り、易しい入試問題を使って更なる発展的な問題への対応力を磨いて、ようやく、骨のある過去問に向かえるようになります。

数学でいえば、教科書と教科書準拠問題集で学んだら、チャート式や大学への数学1対1対応の演習などで応用力を身に付けてからでないと、いきなり赤本は早いということです。

逆に、きちんと基礎を積み、適切な問題演習などで過去問学習に入るのに相応しい実力をつけてから赤本に臨めば、その後の入試対策を半分、3分の1、いやもっと効率を上げてくれると思います。

言い換えれば、赤本を使わないで、対策すれば、使った場合よりも何倍も労力がかかってしまう場合もある、ということです。

【いつから始めるか】

本格的に始めるのは高3に入ってからで良いでしょう。

もちろんこれは、一般的な場合ですので、高2生であっても、既に高3の範囲までの学習を終え、尚且つ教科書レベル、学習の中心に据える参考書、易しい若しくは標準的な入試問題集などをクリアしていて、大学への数学やZ会の難問の部類に趣味で手を出しているなど、数学に自信のある学生なら、赤本を解いてみるのも、今後の入試までの計画を立てるのに役に立つと思います。個々人の学習進度によっては、高2から赤本にしっかり取り組むことも、有益です。

ただし、入試まで時間がたくさんあるので、高2で赤本を解き切ってしまって、高3の入試直前期に「模試」的に解く問題が無くなってしまっては困るので、計画的に他の問題演習と組み合わせて取り組むようにしましょう。

特に、最近3~5年分の過去問は少なくともそのうち数年分は高3秋~冬の「直前模試」用に取っておくのをお薦めします。

例えば、「最近の傾向を知るために、前年、一昨年、5年前の過去問を高3夏から秋にかけて解き、超直前期の冬(12月~2月)に3年前、4年前の過去問を「模試的に」解く、など。

高2から取り組める方は、高2のうちは、10年以上前の過去問(例えば11年前~20年前)を計画的に解くなどして実力錬成を図り、最近の傾向を知るための、直近の過去問は高2のうちに解くものは、1~2年分にとどめておくなど、計画的に解きましょう。

上記のように早くから始められるのは、学習進度の早い一部の進学校や先取り学習を大きく進めた学生に限られるでしょうが、「志望校が入試でどんな問題を出しているかを知る」ためには、

教科書が終わり次第、高2など、なるべく早い段階で「1年分だけ」取り組んでみることもお薦めします。ただし、これも「難しくて全く解けなくても戦意喪失しない人」限定ですが。

【何年分解けばいいのか】

「多ければ多いほど良い」です。

中古などで、なるべく手に入るだけ購入して、

15年分くらいは解きましょう。

3年分解いたくらいでは「模試」の意味(志望校の問題で何点とれるのか)は持っても、「傾向と対策」を取れたとまでは言えません。

もちろん、大学によっては、毎年似たような出題を重ねている場合もあるので、3年分見れば十分にその傾向が分かるというものも存在しますが、3年分程度では、出題が重なって来ない、むしろ「前年と同じようにはしない」ために、3年分皆それぞれに違っていることもあります(もちろん実際には”傾向”はあるのですが見えづらい)。

しかし、例えば10年分集めてみると、「昨年の第2問は6年前に類似の問題が、また、昨年の第3問は8年前に似たような問題が出題されている」などということもあるし、そこまで分かり易いものではなくても、例えば「この単元では必ずこの公式を聞いてくる」など、内容的な傾向、が分かったり、「例年、Aの分野とDの分野から1問ずつ、これは毎年、3題のうちもう1題は、B、C、E分野から」などという傾向が分かり、F分野からはこの15年一度も1問も出題がない、などという”傾向”が分かれば、少なくとも直前期はA~E分野をADに比重をかけて解く、Fはさらっと確認するだけ、などメリハリを付けて対策できます。

尚、古い過去問には、現在の学習指導要領の範囲外の問題も含まれるので、それらは飛ばして現在も出題可能性のある問題のみ解きましょう。

古い赤本を購入する際の注意点として、

ネット上で購入する場合、発送までの日数が中古の場合、長かったりするので、直前期には、「必要なタイミングに間に合わない」事態にならないよう、解くのは先でも、早めに購入だけは済ませておく方が良いです。

以上、赤本について、見て来ましたが、

上にも述べたように、

赤本は「決して、無い実力を付けてくれるわけではない」ので、基本的には、しっかりした基礎理解とそれを適用する、それを演繹する論理的思考力が大切です。

高校数学全体の総合力を付けた上で、「赤本」を有効に利用して、合格を勝ち取りましょう。

大学への数学、など他の教材についても、また取り上げたいと思っています。

次回未定です。

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