今回は、2025年度東京都立大学の前期理系上記学部の共通問題の第1問の解答・解説です。
一見、難しそうな漸化式に見えますが、小問を見ると\(\log\;\)があります。
\(\log\;\)の中に入ってしまえば、漸化式の\(4a_n^3 b_n ^4\;\)の指数は\(\log\;\)の前に出るし、積は足し算になる→「きっとそれがとっかかりになるに違いない」と予測する所が大事なポイントです。
「そんな事予測できないから分からないに決まっている」と諦める必要はありません。
大学入試問題は「受験生達の点数に差が出るような問題で合不合を付けるためのもの」ですが、
意地悪がしたいわけではなく、「基本的な事が理解できているか、覚えているか」を問うている場合が
ほとんどです。
特に、国公立大学の2次の問題は一見難しそうに見えても、「基本的な理解」があれば解けるように作ってある問題が多いです。
「ぶっつけ」でも解ける可能性は十分ありますが、適切な参考書や、入試問題集などで演習をしていれば、「こういう似たようなのあったな」と更に予測がつきやすくなります。
つまり「基礎知識・基礎理解」と「適切な演習」があれば、怖くない問題、ということです。
もう一点、重要なことは、
「しっかり誘導してくれている問題もよくある」ということです。
これは、「小問を順に処理していくと、それが誘導になっていて、最後の小問まで解けるようになっている」そのように作られている問題も多くあります。
本問はそのような誘導型の問題となっています。
問題文の誘導に素直にしたがって処理していきましょう。
(1)
\(c_{n+1}=\log_2a_{n+1}-2\log_2b_{n+1}\)
\(=\log_2 4a^3_nb^4_n-2\log_2\dfrac{1}{2}a_nb^3_n\)
\(=\log_2 4a^3_nb^4_n-\log_2 \{2^{-1}a_nb^3_n\}^2\)
\(=\log_2 2^2a^3_nb^4_n-\log_2 2^{-2}a^2_nb^6_n\) ←前後の\(log\;\)の項をまとめる方針
\(=\log_2\dfrac{2^2}{2^{-2}}\dfrac{a^3_n}{a^2_n}\dfrac{b^4_n}{b^6_n}\)
\(=\log_{2}{2^4 a_n b_n^{-2}}\) ←\(c_n\;\)が出て来そうです(\(c_n\;\)を出す方向に変形)
\(=log_{2}2^4+\log_2 a_n+\log_{2}b_n^{-2}\)
\(=4+\log_2a_n-2\log_2b_n\)
\(=4+c_n\)
すなわち
\(c_{n+1}=c_n+4\) となり\(\;c_n\;\)が等差数列であることが分かります。
\(c_n\;\)の初項は、
\(c_1=\log_2 a_1-2\log_2 b_1\)
\(=\log_2 4-2\log_2 2=0\)
ですから、
\(c_{n+1}-c_n=4\;\)より
\(c_n\;\)は、初項0、公差4の等差数列であるから、
\(c_n=0+(n-1)\cdot4=4n-4\)
(2)
\(d_{n+1}=\log_2 a_{n+1}+2\log_2 b_{n+1}\)
\(=\log_{2}{4a_n^3b_n^4}+2\log_2 \dfrac{1}{2}a_nb_n^3\)
\(=\log_{2}{4a_n^3b_n^4}+\log_2 (2^{-1}a_nb_n^3)^2\)
\(=\log_{2}{4a_n^3b_n^4}+\log_{2}{2^{-2}a_n^2b_n^6}\)
\(=\log_{2}{4\cdot2^{-2}a_n^3\cdot a_n^2b_n^4\cdot b_n^6}\)
\(=\log_2 a_n^5b_n^{10}\)
\(=\log_{2}(a_nb_n^2)^5\)
\(=5\log_2a_nb_n^2\)
\(=5(\log_2a_n+2\log_2b_n)\)
\(=5d_n\)
すなわち
\(d_{n+1}=5d_n\) となり\(\;d_n\;\)が等比数列であると分かります。
\(d_n\;\)の初項は、
\(d_1=\log_2 a_1+2\log_2 b_1\)
\(=\log_2 4+2\log_2 2\)
\(=2+2=4\)
ですから、
\(d_n\;\)は、初項4,公比5の等比数列であるから、
\(d_n=4\cdot5^{n-1}\)
ここまで、小問(1)、(2)とも、完全な誘導です。
指示された\(\;c_n\;,\;d_n\;\)の式に\(\;\log\;\)があるので、
与えられた\(\;a_n\;,\;b_n\;\)の漸化式が、この\(\;c_n\;,\;d_n\;\)の\(\;\log\;\)フィルターを通すことで、何らかの形が見えて来るのだろう、と指示された\(\;\log\;\)の式に、\(\;a_n\;,\;b_n\;\)の漸化式を放り込むと、基本の\(\;\log\)計算だけで、きれいに簡単な形になってくれました。
そして、今度は、小問(1)と小問(2)(すなわち\(c_n\)と\(d_n\))で与えられた式を見てください。
\(c_{n}=\log_2a_{n}-2\log_2b_{n}\)
\(d_{n}=\log_2 a_{n}+2\log_2 b_{n}\)
「形が一緒、後ろの項目が符号違い」
これって、「足せば後ろの項が消える、引けば前の項が消える形、連立処理あるあるな形で、それも計算が面倒にならないすっきりした形です。
(3)
小問(1)の式と小問(2)の式、すなわち\(\;c_n\;\)と\(\;d_n\;\)を足して、後ろの\(\;b_n\;\)の項を消します。
\(c_n+d_n=\log_2 a_n-2\log_2 b_n+\log_2 a_n+2\log_2 b_n\)
\(=2\log_2 a_n\)
\(=4n-4+4\cdot5^{n-1}\)
よって
\(\log_2 a_n=2n-2+2\cdot5^{n-1}\)
\(\qquad a_n=2^{2n-2+2\cdot5^{n-1}}\)
\(\qquad \quad \;=2^{2\left(n-1+5^{n-1}\right)}\)
\(\qquad \quad \;=4^{5^{n-1}+n-1}\)
\(a_n\;\)が順調に出ました。
あとは\(\;b_n\;\)も同様の計算をするだけだろうと分かり、完答確定です。
今度は\(\;c_n\;\)から\(\;d_n\;\)でも\(\;d_n\;\)から\(\;c_n\;\)でも、どちらでも良いですが、どうせなら「残る項」の符号がプラスの方がスッキリなので、\(\;d_n\;\)から\(\;c_n\;\)を引きます。
\(d_n-c_n=4\cdot5^{n-1}-\left\{4n-4\right\}\)
\(\quad \quad \;\;\;\;\;=4\cdot5^{n-1}-4n+4\)
\(\quad \quad \;\;\;\;\;=\log_2 a_n+2\log_2 b_n-\left\{\log_2 a_n-2\log_2 b_n\right\}\)
\(\quad \quad \;\;\;\;\;=4\log_2 b_n\)
よって
\(\log_2 b_n=5^{n-1}-n+1\)
\(\qquad b_n=2^{5^{n-1}-n+1}\)
どうでしょうか。意外に(見た目よりも)、難しくなかったと思います。
小問(1)では、対数の基本の計算⇒(真数にある指数は\(\;\log\;\)の前に出る、真数の積は対数の和になる)の処理をしたら、\(c_n\;\)は極めてシンプルな等差数列に。
小問(2)も同様に対数の基本の計算をしたら、今度は、これも極めてシンプルな等比数列に。
小問(1)、小問(2)と、それぞれの式が\(\;a_n,\;b_n\;\)を含んでおり、小問(3)で、「\(a_n,\;b_n\;\)を求めよ」としっかり誘導して、あとは連立を解くだけ(小問(1)の式と小問(2)の式は\(a_n,b_n\)の連立)
つまり、この問題で問われたのは、
対数の基本の計算と、等差数列・等比数列の基本事項です。
あとは、それらを組み合わせて連立方程式を処理する、大問処理時の基礎計算処理能力、ですが、本問で要求される計算処理は、因数分解や連立方程式、2次方程式などを学ぶ中で身に付けるような、標準的なものです。もちろん、入試問題の中には計算量が非常に多く、処理の正確さや粘り強さが問われるものもありますが、本問はそうしたタイプではありません。
このように、本問は対数と数列の基本事項を理解し、それらを適切に組み合わせて使えるかを問う問題になっています。その意味で、教科書で学ぶ基本事項の理解度を測る良問と言えるでしょう。
大学入試では難しいテクニックや特殊な発想だけでなく、基礎を正しく理解し、それを論理的に組み合わせて考える力が重要になります。そして、そのような力は、文系・理系問わず、大学で様々な学問を学ぶ際の基礎にもなるものだと思います。
お疲れ様でした。
次回未定です。
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