特に高校数学の参考書として有名な、数研出版の「チャート式」ですが、
何色のチャートが良いのか迷う人は多いと思います。

チャート式
数学Ⅰ+A
(数研出版)
結論から言うと「赤」「青」「黄」のどれを選んでも、内容をしっかり理解しながら取り組めば、大学受験の土台として十分力を付けられます。
もちろんチャート一冊だけで全て完結とまではいきませんが、定番の参考書として長く使われてきたのも納得の完成度で、数学が得意な人にも数学が苦手な人にもお薦めできる、多くの大学受験生にとって、有力な選択肢になる参考書だと思います。
ただ、他にも定評のある優れた参考書は色々とありますから、用途や好みによって、使い分けたら良いでしょう。(*受験までに軸となる参考書をいくつか決めて、繰り返し取り組むと良いと思います。あくまで一例ですが:教科書⇒黄チャート⇒大学への数学1対1演習⇒河合塾文系の数学実践力向上⇒良問プラチカ⇒赤本、のように、チャートを終えた後は、志望校や学力に応じて別の演習教材に進むことになります。他に調べ用として、赤チャ、青チャ、大学への数学各種、など、揃えておくと便利です。)(また、数学が苦手で教科書が良く理解できていない場合などは、「やさしい高校数学」など。難易度で問題数を限った網羅系参考書として「問題精講シリーズ」(全難易度を合わせるとかなりの数になりますが)から、「基礎問題精講」(自身の必要とするレベルに合わせて)など、様々な組み合わせの具体例については別記事で紹介する予定です)
以下、今回は黄チャートを見ていきます。
チャート式 解放と演習 数学 (黄色チャート)(*数研出版公式HPでは「進学校採用実績№1」と紹介されています)
黄チャ、青チャは、進学校などで学校配布されることも多いと思います。鉄板の参考書です。
どんな人にお薦め?
⇒入試科目に数学のある文系・理系の人
⇒基礎をしっかり定着させたい人
です。
何がそんなに良いの?
⇒掲載問題の質・適切な難易度・解法の汎用性・解説の分かりやすさ・網羅性・トータルバランス
が素晴らしい、非常に完成度が高いです。
一つずつ詳しく見ていきます。
「掲載問題の質」
問題の質が高いです。
その問題限りの技巧的な解き方をするものや、その単元の理解に対して重要性の低い問題は比較的少なく、
「典型的な考え方」を身につけるのに向いた問題が厳選されています。
また、似たタイプの問題であっても、
理解に必要な部分を、無駄なく効率よく学べるよう、
数字や設定まで含めて工夫されている印象があります。
この点は、黄色チャートが「徹底的な基礎理解」を重視した参考書であることとも関係しているように思います。
(もちろん、青チャートとの違いは連続的なもので、全く別物というわけではありません。むしろ青チャは基本的な方向性は黄チャとかなり近い参考書です。青チャの方が若干難しめの印象です。)
もちろん、力のある人から見れば、「これはすぐに解ける」と感じる例題もあるでしょう。
しかし、そのような場合でも、「なぜその解法になるのか」「どこが典型なのか」を確認しながら進めることで、基礎の整理として役立つ部分があります。
多くの人にとっては、教科書と入試問題の間をつなぐ、非常に良質な問題群になっていると思います。
「適切な難易度」
難易度は「教科書レベル~入試基礎レベル」で、それも「教科書と本格的な大学入試問題との間をつなぐ最適な難易度の問題」が基礎から順に入試レベルまで無理なく進められるよう揃えてあります。
ここ、「難易度」が、選ぶ際の特に多くの人が悩まれる要素の一つだと思いますが、
結論から言えば、
黄チャがおすすめの人:共テで数学が必要な人~最難関大学理系を受ける人
です。
難関大受験には青チャが推されることも多いですが、実際には、黄チャレベルの内容を深く理解・運用できれば、かなり高いレベルまで到達できる人もいます。
極端に言えば、
教科書の内容を本当に深く理解できる人なら、難関大問題にも対応できる場合があります。
逆に、どんなに素晴らしい参考書を使っていても、「丸暗記」や「手順を追うだけ」の学習になってしまうと、演習量の割に力が伸びにくい場合があります。
その結果、
「初見問題に弱い」「問題が少し変わると止まってしまう」といった状態になることもあります。
もちろん、
解法を書き写しながら流れを理解する学習も、最初の段階では有効な場合があります。
ただし、最終的には
「なぜその方針になるのか」
を自分で説明できる状態を目指したいところです。
黄色チャートには、その「なぜ」をしっかり詰め込みながら、無理なく適正な演習が出来る難易度の問題が「高校数学を理解して、大学入試問題を解く」という目的に向かって効率良く配置されているので多くの人にとって使い易い参考書になっていると思います。
最難関大学を目指す人にも基礎事項や典型問題の整理確認用としてお薦めできますし、
一方で、例えば、「赤チャート、青チャート見たけど難しくて挫折しそう」と感じるようなら、
「黄色チャート」をお薦めします。
「黄チャでは不足してしまうのでは?」という心配については、
実際には、黄チャート終了後に、
過去問や入試問題集など、
より実践的な演習へと進む人が多いと思います。
また、「大学への数学 1対1対応の演習」などを用いる人も多いと思います。
それらの中で十分に補っていける場合も多いでしょう。
「解法の汎用性」
チャート式シリーズに共通して言えることですが、
「指針」や「CHART」などに、掲げられている内容、特に「太字や赤で強調されている部分」は「極めて汎用性の高い解法、考え方や、解答指針」となっています。
これは多くの問題で役立つため、覚えておいて損はありません。
実際、それらの考え方を使うだけで解けてしまう問題も少なくありません。
「高校数学・大学入試数学の問題を解く上で有用な考え方や、典型的な解法」が整理されています。
いわば、数学を解くための「便利な道具箱」のような場所、それが「指針」や「CHART」です。
この「解答の指針」は、
奇をてらわず、あまり技巧的にならずに、論理的で易しく分かりやすい視点で、できるだけ多くの問題に応用できる内容となっており、
実際の入試問題でも役立つ内容が多く、私はこの「解答の指針」が、
「チャート式シリーズ」の大きな魅力の一つだと思います。
「解説の分かりさすさ」
どの科目の参考書、問題集にも言えることですが、
「解答・解説の分かりやすさ」は、とても重要です。
特に高校の「数学」「物理」「化学」などの理系科目では、
「解く過程をいかに丁寧に易しく解説してくれているか」が
学習の効率、学習の効果に大きく影響します。
「チャート式」のような、1ページまたは見開き2ページに例題1題とその解説を載せて、解法の学習、演習を行うような参考書であれば、なおさら、そこは強く求められる部分です。
これが
「極めて分かり易い」
「丁寧」
「次につながる」
「指針」などと同様に「本質」を突いていて、無駄も少ない印象ですが、行間も極力感じられないような丁寧な解答になっているように思います。
多くの問題で、一般的な解法がチョイスされていて、一般的な解法が複数あるものは、
「別解」として取り上げられている場合もあります(全てではありませんが)。
解答・解説が親切なので、
教科書と黄色チャートで、独学で進めたり、先取り学習や予習にも、
使い易い参考書になっていると思います。
分からない箇所などを、誰か聞ける人がいるなど、学習環境にもよりますが、
「解説が丁寧だから、自分で進めやすい」というのは、
先ほども述べましたが、
学習効率が良く、
「理解が進む分、実際に問題を解く力をつける効果も高い」
と言えると思います。
「網羅性」
「黄、青、赤」のどれかであれば、
網羅性は十分に確保されていると思います。
むしろ「多い」「回すのが大変」と評されることもあり、
これは「教科書準拠問題集」などにも言えることですが、
問題数が多過ぎて、全部やっていると時間がかかり過ぎる、という場合、
特に「内容的にすでに理解していて確実に解ける問題」をやるのは、
高校生の勉強としては非効率ですから、
(少しでも、分からない箇所の習得に充てる方が良いので)
こなせる量か、全部解いて無駄はないか、
など各自の学習計画と照らし合わせて判断するのが
良いと思います。
「黄色チャートで十分」ですが、
もっと問題数が欲しい人は、「青か赤」を選ぶのも良いでしょう。
または、
「黄色チャート」メインで学習しながら、
「青チャ」「赤チャ」を辞書的補充に置いておくのも一つの方法です。(費用が余分にかかってしまいますが)
「トータルバランス」
以上の長所含め、参考書としてのトータルバランスが
とても良い、優等生的な参考書だと思います。
もちろん、
例えば「予備校講義系参考書」には、
「まるで予備校の講義を受けているかのような分かり易さ」
があり、
また、「やさしい高校数学」には
「教科書の基本事項をとことん分かり易く説明してくれている」から、
学校の授業だけでは理解が十分に出来ていない項目などを
理解するのに助けになる。
「大学への数学」シリーズには、
他の参考書とは違った切り口での解法、解説が
「理解を深め」たり、
「解法のテクニック」を身につけたり
更なる実力を付けてくれる。
など、
様々な個性の参考書があって、どれが自分に一番合っているかは、
最終的には、各人(もしくはその指導者など)にしか分からないのですが、
チャートは高校数学を学ぶ多くの大学受験生に取って、
バランスの良い、学習の中心に据える参考書の選択肢の一つだと
思います。
いずれ、
「基礎問題精講」
「大学への数学1対1対応の演習」
「4STEP」
「良問プラチカ」
「青チャート」、「赤チャート」など、取り上げる予定です。
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青チャート、赤チャートについてはこちらで解説しています。
