今回は、東北大学2024年度入試問題・前期・理系、第1問の解答・解説です。
\(a\;\)を正の実数とし、\(f(x)=x^2-2ax+4a^2\;\)とする。\(O\;\)を原点とする\(\;xy\;\)平面上の放物線\(\;C:y=f(x)\;\)の頂点を\(\;A\;\)とする。直線\(\;OA\;\)と\(\;C\;\)の交点のうち\(\;A\;\)と異なるものを\(\;P(p,f(p))\;\)とし、\(O\;\)から\(\;C\;\)へ引いた接線の接点を\(\;Q(q,f(q))\;\)とする。ただし、\(\;q>0\;\)とする。
(1) \(p,q\;\)の値を\(\;a\;\)を用いて表せ。また、\(\quad p>q\quad \)であることを示せ。
(2) 放物線\(\;C\;\)の\(\quad q≦x≦p\quad \)の部分、線分\(\;OP,\;\)および線分\(\;OQ\;\)で囲まれた図形の面積を\(\;S\;\)とおく。\(S\;\)を\(\;a\;\)を用いて表せ。
(3) (2)の\(\;S\;\)に対し、\(\quad S=\dfrac{2}{3}\quad \)となるときの\(\;a\;\)の値を求めよ。
2次関数です。
f(x)を見ると、
\(\qquad f(x)=x^2-2ax+4a^2\;\)
軸が\(\;a\;\)で、平方完成し易いということが見て取れます。
意地悪(ひっかけ)でなければ、このまま素直に王道に解いて良さそうです。
さらに、「頂点をAとする」となっており、ますます「まずは平方完成して、頂点Aを求めよ」と後押ししてくれています。
(1)
平方完成します。
\(f(x)=x^2-2ax+4a^2=(x-a)^2+3a^2\quad \)より \(A\;(\;a\;,\;3a^2\;)\)
頂点\(A\;\)の座標は出ました。
\(P\;\)は「\(A\;\)以外の\(OA\;\)と\(C\;\)の交点」なので、
\(OA\;\)の式を求めます。
直線\(\;OA\;\)の式は、
原点\(\;O\;\)と\(\;A\;(\;a\;,\;3a^2\;)\)を通る直線ですから、
\(a>0\;\)より\(\;OA\;\)の傾き、\(\dfrac{3a^2}{a}=3a\;\)
よって、
\(\qquad y=3ax\) ・・・①
と分かります。
\(C\;\)と①の交点は、
\(C\;\)の式すなわち\(\;f(x)\;\)と、①の連立ですから、
\(x^2-2ax+4a^2=3ax\)
\(x^2-5ax+4a^2=0\)
\((x-a)(x-4a)=0\)
\(\qquad x=a\;,\;4a\)
\(P\;\)は\(\;A\;\)と異なる点だから、
\(x=4a\;\)
\(x=4a\;\)のとき\(\;y=3a\cdot4a=12a^2\)
よって \(p\;(\;4a\;,\;12a^2\;)\)
次に、\(Q\;\)を求めます。
\(Q\;\)は、
「\(O\;\)から\(\;C\;\)へ引いた接線の接点」だから、
「\(O\;\)から引いた」⇒つまり「原点を通る直線」が\(\;C\;\)と接する接点が\(\;Q\;\)です。
原点を通る直線は、 \(y=mx\;\) とおけるので、
この\(\;y=mx\;\)が「\(\;C\;\)と接する」という条件から、\(m\;\)を求め、
\(Q\;\)を求めます。
\(\;y=mx\;\)が「\(\;C\;\)と接する」というのは、
\(C:y=f(x)=x^2-2ax+4a^2\) と \(y=mx\) ・・・② の交点を求める
連立方程式(2次方程式)が重解を持つ、ということですから、
(\(C\;\)と\(\;y=mx\;\)の連立は2次方程式となり、2次方程式で「交点の座標を求める」場合なら、異なる2つの実数解⇔異なる2点で交わる、重解⇔交点は1個(接する場合)、実数解なし⇔交点なし)
\(C\;\)と②の式から、\(y\;\)を消去すると、
\(x^2-2ax+4a^2=mx\)
\(x^2-(2a+m)x+4a^2=0\) ・・・③
2次方程式③が重解を持つので、
判別式\(\;D=0\;\)です。
\(D=(2a+m)^2-16a^2=0\)\
\(4a^2+4am+m^2-16a^2=0\)
\(m^2+4am-12a^2=0\)
\((m+6a)(m-2a)=0\)
\(\qquad m=2a\;,\;-6a\)
\(C:y=f(x)\;\)は、下に凸な2次関数であり、
頂点\(\;A\;(\;a\;,\;3a^2\;)\)は第1象限であるから、グラフは上図のようになり、
原点を通る直線との接点\(\;Q\;(\;q\;,\;f(q)\;)\;\)の\(\;x\;\)座標\(\;q>0\;\)ならば、
\(Q\;\)を接点とする原点を通る接線の傾き>0であるから、
\(a>0\;\)より、
\(m=2a\;\)
③に代入すると、
\(x^2-4ax+4a^2=0\)
\((x-2a)^2=0\)
\(x=2a\) よって \(Q\;(\;2a\;,\;4a^2\;)\)
\(a>0\;\)より \(p=4a>2a=q\)
小問(1)では、数Ⅰで学ぶ「2次関数」と「2次方程式」の基本事項を用いました。
難関大学の入試問題であっても、前半には、基本事項を確実に理解できているかを確認するような問題が出題されることがあります。
基本事項の理解は、終盤の難しい問題に対応するためだけでなく、受験生の多くが得点してくる前半の問題で、「確実に得点する」ためにも大切です。
高校の定期テストなどで、「何となく解けた」という状態ではなく、なぜそうなるのかまで理解しておくことが、入試での安定した得点につながります。
次の小問(2)は、数Ⅱで学ぶ「積分」の典型的な問題です。
上図のように「紫部分と青部分を足す」方法(解1)でも、OP斜辺の大きな三角形から、OQ斜辺の三角形とCのPQ間の曲線とx軸の囲む部分を引いて(解2)も求められます。どちらでも比較的すっきり計算できます。
小問(2)
【解1】
\(x=2a\;\)と直線\(\;OP\;\)との交点を\(\;R\;\)とすると
\(\qquad R\;(\;2a\;,\;6a^2\;)\)
\(\triangle ORQ=\dfrac{1}{2}\cdot RQ\cdot 2a\)
\(=\dfrac{1}{2}\cdot (6a^2-4a^2)\cdot 2a\)
\(=\dfrac{1}{2}\cdot 2a^2\cdot 2a=2a^3\) ・・・④
また、線分\(\;RQ\;\)と\(\;RP\;\)と\(\;C\;(\;q\leqq x \leqq p\;)\)で囲まれた面積は、
\(\displaystyle\int_{2a}^{4a}\left\{3ax-(x^2-2ax+4a^2)\right\}\,\mathrm{d}x\)
\(=\displaystyle\int_{2a}^{4a}(-x^2+5ax-4a^2)\,\mathrm{d}x\)
\(=\left[-\dfrac{1}{3}x^3+\dfrac{5}{2}ax^2-4a^2x\right]_{2a}^{4a}\)
\(=-\dfrac{1}{3}\cdot64a^3+\dfrac{5}{2}a\cdot16a^2-4a^2\cdot4a\)
\(+\dfrac{1}{3}\cdot8a^3-\dfrac{5}{2}a\cdot4a^2+4a^2\cdot2a\)
\(=-\dfrac{1}{3}\cdot56a^3+\dfrac{5}{2}\cdot12a^3-8a^3\)
\(=-\dfrac{56}{3}a^3+22a^3\)
\(=\dfrac{66a^3-56a^3}{3}=\dfrac{10a^3}{3}\) ・・・⑤
④、⑤より
求める面積\(\;S\;\)は
\(S=2a^3+\dfrac{10a^3}{3}=\dfrac{6a^3+10a^3}{3}=\dfrac{16a^3}{3}\)
【解2】
求める面積の部分の切り分け方は、数値が比較的すっきり求められるものについては、その場で気が向いた分け方で構いません。
\(x\;\)軸を底辺とし、\(OP\;\)を斜辺とする直角三角形から、\(OQ\;\)を斜辺とする直角三角形と放物線\(\;C\;\)の\(\;q\leqq x\leqq p\;\)の部分と\(\;x\;\)軸と\(\;x=q\;\)及び\(\;x=p\;\)で囲まれた部分を引いても、\(S\;\)を求めることができます。
\(S=\dfrac{1}{2}\cdot4a\cdot12a^2-\dfrac{1}{2}\cdot2a\cdot4a^2\)
\(-\displaystyle\int_{2a}^{4a}(x^2-2ax+4a^2)\,\mathrm{d}x\)
\(=24a^3-4a^3-\left[\dfrac{1}{3}x^3-ax^2+4a^2x\right]_{2a}^{4a}\)
\(=20a^3-\left(\dfrac{56}{3}a^3-12a^3+8a^3\right)\)
\(=20a^3-\dfrac{44}{3}a^3=\dfrac{16}{3}a^3\)
小問(2)は、定積分の計算としても比較的取り組みやすいものでした。
小問(3)です。
(3)
\(S=\dfrac{16a^3}{3}=\dfrac{2}{3}\)
\(16a^3=2\)
\(a^3=\dfrac{1 }{8}\)
\(a= \dfrac{1}{2}\)
小問(3)は小問(2)の結果を使った基本的な計算問題でした。
本問は、数Ⅰの2次関数と数Ⅱの積分の基本が出来ていれば、容易に解ける問題で、本番では確実に満点で得点しておきたい問題です。
「交点」「接線」「グラフで囲まれた面積」などの「数学の基本が身に付いていますか」と問いかける問題であったと言えるでしょう。
東北大学を志望校としていない学生にとっても、Ⅰ・A・Ⅱ・Bを範囲とする復習問題、総合演習として、基本事項を確認するのに適した良問です。
お疲れ様でした。
次回未定です。
