【例題】
10本中3本が当たりくじのくじがある。このくじをA,B,C3人が順に引いたとき、3人それぞれの当たる確率を求めよ。ただし引いたくじは元に戻さない。
数Aの確率の問題で基本の例題として使われる題材としては、「さいころ」「くじ」「じゃんけん」などがあるが、これらは日常の中でも「確率」を考えてしまう題材であるから、誰もが確率に対するイメージを持っている。
本問はその中でも特に「確率」を自然に考えてしまう題材とも言える「くじ」である。
まずは正解から
\(A\;\)も\(\;\dfrac{3}{10}\;\),\(\;B\;\)も\(\;\dfrac{3}{10}\;\),\(\;C\;\)も\(\;\dfrac{3}{10}\;\)
最終的には知識として
「10本のうち3本当たりのくじを1回引くなら当たる確率\(\;\dfrac{3}{10}\)」
「このくじを引いたくじを戻さず3人が順に引いても、引く順番に確率は影響されない」
と知っておくとして、
なぜそうなるのか、を見てみましょう。
まず、最初に引くAですが、
10本のうちから1本を選ぶわけですから、選び方は10通りあります。
そのうち3本は当たりですから、どれを選ぶ場合も「同様に確からしい」とすると、
当たりである確率は\(\;\dfrac{_3C_1}{_{10}C_1}=\dfrac{3}{10}\)
次に引くBは、
残った9本から1本引きます。選び方は9通り。
ただし、当たりの本数は先に引いたAが当たった場合と外れた場合で異なります。
Aが当たった場合、当たりは1本減って2本なので、\(\dfrac{2}{9}\) ・・・(ア)
Aが外れた場合は、当たりは3本のままなので、\(\dfrac{3}{9}\) ・・・(イ)
しかし、ここで(ア)や(イ)をこのまま、「この事象の起こりやすさ」としてカウントしてはいけません。
例えば日常の感覚「(数学を用いて厳密に考えないイメージ判断)であれば、
(ア)は「Aが当たったから、当たりが1個減った、だから確率は低くて損である」
また、(イ)の場合は、
「Aが外れて外れくじが1本減ったから、より当たりやすくなって得だ」
と。
確かに、\(\dfrac{2}{9}\;\)や\(\;\dfrac{3}{9}\;\)だけを見ればそう言えるのですが、
そもそも(ア)のAが当たってBも当たる場合も、(イ)のAが外れてBが当たる場合も、それぞれの事象の起こりやすさは、(ア)の場合は、Aが当たる確率\(\;\dfrac{3}{10}\;\)に\(\;\dfrac{2}{9}\;\)をかけないと「その事象の起こりやすさ」になっていないし、(イ)の場合も\(\;\dfrac{7}{10}\;\)に\(\;\dfrac{3}{9}\;\)をかけないと「その事象のおこりやすさ」にはなりません。
正しくは、
Aが当たったあとにBも当たる確率\(\;\dfrac{3}{10}\times\dfrac{2}{9}\)
Aが外れたあとにBが当たる確率\(\;\dfrac{7}{10}\times\dfrac{3}{9}\)
これらを合わせたものがBが当たる確率になりますから、
\(\;\dfrac{3}{10}\times\dfrac{2}{9}+\dfrac{7}{10}\times\dfrac{3}{9}=\dfrac{6}{10\cdot9}+\dfrac{21}{10\cdot9}\)
\(=\dfrac{27}{10\cdot9}=\dfrac{3}{10}\)
Aと同じ確率になりました。
同様にして
Cの当たる確率も計算してみましょう。

上の樹形図の①は
Aが当たり→Bが当たり→Cが当たる場合で
確率は
\(\dfrac{3}{10}\times\dfrac{2}{9}\times\dfrac{1}{8}\)
同様にして
③ \(\dfrac{3}{10}\times\dfrac{7}{9}\times\dfrac{2}{8}\)
⑤ \(\dfrac{7}{10}\times\dfrac{3}{9}\times\dfrac{2}{8}\)
⑦ \(\dfrac{7}{10}\times\dfrac{6}{9}\times\dfrac{3}{8}\)
Cが当たる確率は①③⑤⑦の和
\(\dfrac{6}{72\cdot10}+\dfrac{42}{72\cdot10}+\dfrac{42}{72\cdot10}+\dfrac{126}{72\cdot10}\)
\(=\dfrac{216}{72\cdot10}=\dfrac{3}{10}\)
A,Bと同じになりました。
くじを戻せばもちろん、戻さなくても引く順番で確率は変わらない、ということです。
この結論は、この場合の確率の計算の仕方とともに、知識としてインプットしておきましょう。
もう一つ、
上記のように\(\;\dfrac{_3C_1}{_{10}C_1}\;\)から求める方法ではなく、
順列を使って計算する方法も知って理解しておきましょう。
すなわち
A,B,Cが引くくじを順に並べると、10本から3本取って来て並べる並べ方だけ場合の数があるので分母は\(\;_{10}P_3\)
このうちAが当たる場合は、
Aに来る当たりがどの当たりかで3通り、B,Cに来るのは残った9本から2本取って来て並べる並べ方だけ場合の数があるから、\(_9P_2\)
よって\(\;\dfrac{3\times_9P_2}{_{10}P_3}=\dfrac{3}{10}\)
「選び方」で計算したときと同じ結果になりました。
また、これは、10人が順に引いた場合、で計算してもやはり
分母は、10本全部の並べ方、すなわち
\(_{10}P_{10}=10!\)
分子は、
Aにどの当たりが来るかで3通り、残る9本の並び方で\(\;_9P_9=9!\)
よってAが当たる確率は、
\(\dfrac{3\cdot9!}{10!}=\dfrac{3}{10}\)
最後の10番目に引く人の当たる確率は、
10番目に出た場合の当たりくじがどれかで3通り、その他の9人にどのくじが来るかで、やはり9!通り、なので
\(\dfrac{3\times9!}{10!}=\dfrac{3}{10}\)
となって同じ確率となる。
不思議なようですが、ちゃんと計算するとこうなります。
順列で見れば、「10個のものの並び方」ですから、当たりを含め、どのくじがどれくらいの割合で回ってくるのかが、10番目と1番目で変わりがないのは当然で、「起こりやすさ」に変わりはないことが良く分かります。
最初の人は当たりがフルで残っているのだから当たりやすそう、だとか、10番目の人はまず当たりが残っているなんてことは無さそう、などということは無いということです。当たる確率は1番目も3番目も10番目も全く同じです。
だから、引いたくじを戻しても戻さなくても、引く順番と確率は関係ない、という事です。(戻す場合は引く順番に関係なく当然に同じ確率なので)
くじ、さいころ、じゃんけん、などは、確率の基本学習の題材として、身近にイメージできるものなので、式とその意味と結論をしっかり習得しておきたい例題です。
お疲れ様でした。
また、サイコロなども取り上げる機会があるかもしれません。
次回は未定です。
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